07 Jun 新しい時代のファッション誌
新型コロナによる経済悪化で打撃を受けているファッション業界。他業界と比べ、回復は最後になるのではと言われています。そんな中、ブラジルElle誌は今年5月、デジタル版を導入しただけでなく、新しい時代を反映した撮影方法で注目を浴びています。
その1つは女性誌の目玉でもあるブランドの新作紹介。今回Elle誌は掲載予定の服を外出自粛中の写真家22人へ送り、モデルは写真家自身か一緒に住んでいる人に依頼するという異例の方法を取りました。今までファッション誌には見られなかったような斬新なブランド服の紹介写真に仕上がっただけでなく、写真家自身の作品の変化が垣間見えるものとなりました。また国内のブランドのみを取り上げることで、ブラジルファッション業界の再生を図っています。
写真家のWallace Domingues氏は8歳の甥っ子ルッカス君にRodrigo Evangelistaの服を着せて撮影しました。3日間かけて、ゆっくりと丁寧に撮影したそうです。Wallace氏の今までの写真とは一味違う気迫が感じられ、鳥肌立ったとコメントされています。
またBob Wolfenson氏は奥さんのマリザさんにNeriageの服を着てもらい撮影しました。「特にこれというアイデアを作らず、妻のマリザとふらふらと歩き、撮っていきました」。Bob氏の作品は広告写真が多く、従来独特なセッテングをしますが、今回は奥さんというもっとも身近な人が被写体となったことで深い温かみが感じられます。
もう一つ注目すべき撮影は、外出自粛中に行われたモデルのキャスティング。一万人以上からインスタグラムの投稿で応募がありました。最終的に16人が選ばれ、本来であればこれからスタジオ撮影するはずでしたが、外出自粛期間のため、大幅に予定変更。制作側はモデルたちとビデオ通話で家の中を見せてもらい、撮影場所を選び、モデルたちの私服を一枚一枚検討し、決定。写真は本人かその家族が写真家と話しながら撮影する形になりました。
「最初、私は侵入者のような気持ちでした。会ったこともないモデルたちの家の中に入り、タンスを開けてもらい、家族と話し合う。今回の仕事で、通常のスタジオ撮影では見ることができない、モデルたちの生き方や生活に触れることで、制作側全員が感化されました。この時代ならではの仕上がりになったと思います。」と写真家のGleeson Paulinoはコメントしています。
ブラジルの新型コロナウイルス感染状況(6月6日現在)
死亡者:36,044人
感染者:676,494人
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参考リンク
https://elle.com.br/moda/ensaio-wallace-domingues
https://elle.com.br/moda/editorial-bob-wolfenson?rebelltitem=16#rebelltitem16
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