22 Sep コロナ禍のスラム街を描くドキュメンタリー
南米で最も豊かとされているサンパウロ市ですが、人口の11%にあたる約2,000,000人はスラム街に住んでいます。新型コロナウイルスで亡くなる率も他のエリアと比べると2.7倍です。
スラム街で暮らすNana Prudencioさんは、4年前に制作プロダクションを立ち上げた監督です。外出自粛が始まった頃、周りで困っている人たちのために福祉活動を始めました。活動を通じて、政府の援助が届かず、不満を抱えている多くの人たちに出会いました。Nanaさんが黒人で、女性であるだけでなく、スラム街の住民であることから、気楽に話しかけてくる人がいたり、家まで招待してくれて、どれだけ困っているかを見せたがる人もいました。テレビ局が取材に来ても、ほんの少ししか取材してくれないので、もしドキュメンタリーにできたら、現状を世間に伝えられるのではとNanaさんは思いました。
予算はありませんでしたが、カメラ一台とボランティアの協力を得て、3ヶ月で14箇所周りました。住民の声や団体、協会、NGOなどの活動を織り交ぜながら記録していきました。Nanaさんが前から知っている人たちをインタビューしているので、みんなに安心感を与えていることが被写体の表情から垣間見えます。また通常であれば撮影のハードルが高いスラム街の隅々まで撮影できているため、迫力のある場面がいくつもあります。
カメラをまわしていくと、小さな「協力」も目に入るようになりました。Nanaさんは、子供15人を育てているにもかかわらず、麻薬中毒で子供を育てられない人から子供を引き取った女性と出会いました。その時、支援は大小問わず、相手を思いやる気持ちで行わなければ、人生は変わらないと思ったそうです。現状を訴えようと始めたプロジェクトですが、それだけでなく住民間の助け合いがスラム街を救っていることが分かる映画に仕上がりました。
このドキュメンタリーが様々なスラム街の団体で上映されるだけでなく、作品を通じて地元のリーダーや住人たちが議論をし、自分たちが住んでいる地域を変えていくことに繋ればとNanaさんは思っているそうです。8月初めに公開されてからベロオリゾンテ、ブラジリア、リオデジャネイロなどで上映されました。
ブラジルの新型コロナウイルス感染状況(9月22日現在)
感染者:4,556,123
死亡者:137,445
#新型コロナウイルス #COVID19 #南米 #ブラジル #スラム街 #ファベーラ#ドキュメンタリー
参考リンク
https://www.facebook.com/zalikaproducoes/videos/?ref=page_internal
No Comments