23 Sep 自宅で制作するオンラインオペラ劇
舞台は17世紀ペストが大流行しているロンドン。親しい友人や家族を亡くした人たちが集まり酒宴を催す…プーシキンの「小悲劇」の一部を1900年ロシアの詩人ツェーザリ・キュイが曲を完成した3幕戯曲「黒病死の時代の露宴(The City of Plague)」のオペラのシーンです。
このオペラは8月にオンラインの冬の音楽フェスティバルで公開され、今月から無料で見られるようになしました。考案者はリオ・デ・ジャネイロ市立劇場の舞台監督Andre Heller氏とリオ交響楽団のIra Levin指揮者です。出演は外出自粛中の5人のブラジル人オペラ歌手たちです。全員第一線で活躍している人たちですが、今回無料で参加しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、市立劇場の活動として交響楽団などはオンラインで公演したりしましたが、オペラは初挑戦でした。「通常のオンラインの映像とは違うものを作れないかと考えました」とHeller監督は語っています。マエストロのLevinに相談し、二人で独自のプロジェクトを実現することになりました。
1か月かけて翻訳した楽譜をそれぞれのオペラ歌手たちに送り、自宅で練習開始。ベースとなる音楽はマエストロ自身がピアノを弾き、制作しました。同時にHeller監督は舞台となるべき演出を自宅で作り、その写真を歌手たちへ送ります。
バリトンを務めたVinicius Atiqueさんは役を演じるだけでなく、Heller監督の総編集も手伝いました。「最初映像と音声を一緒に収録しようと考えていました。でもそれぞれ違う場所で歌い、演じるので、違和感のないものに仕上げるのはとても難しいと分かりました。そのため、まず曲を収録し、その曲をもとに演じてもらいました。」とコメントしています。
メゾソプラノ歌手のLuiza Francesconiさんはお母さんとご主人に舞台の設置から撮影まで手伝ってもらったそうです。「一番大変だったのは相手役がいないので、どこを見ればよいのか分かりませんでした😶🤷♀️目の前に色々な物を置いて、この場面はこれを見るという感じで演じました。相手役の反応のタイミングはピアノの曲を基準にしました。」と述べています。
テノールのGiovanni Tristacciさんも「最終的どんな仕上がりになるか全然分からないのは初めてでした。映画の収録に似た感じでしたね。」とコメントしています。
またAtiqueさんは「自宅で収録していると外部の音がどうしても入ってくるのです。バイクが通ったり、鳥が鳴いたり…😂🛵30分のオペラ収録に8時間もかかりました。」と苦笑いしながら、制作過程を振り返ります。
出演者たちは多くのハプニングに見舞われますが、このオペラビデオは最終的にかなりの傑作となりました。国内上演に留まらず、10月英国のOpera誌が世界でも稀なオペラ上演として、公開する予定だそうです🙌
「世界に散らばっている参加者全員がボランティアで参加し、良いこともありましたが、やはり編集上選択しなければいけない部分もありました。静まり返っている世界中の劇場に少しでも光がよみがえればと願っています。」とHeller氏は締めくくっています。
ブラジルの新型コロナウイルス感染状況(9月23日現在)
感染者:4,591,604人
死亡者:138,108人
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