09 Oct 3Dプリンターで作った人工甲羅 ギネスに認定
去年2020年ブラジルで発生した森林火災件数はブラジル国立宇宙研究所の発表で22万件以上でした。今回はもう少し前2015年、首都ブラジリア郊外の森林火災で火傷を負った一匹のリクガメが救助され、その後のお話です。
救出されたカメの甲羅は約90%が焼けており、獣医が安楽死を考えたほどの重傷でした。しかし、必死で生きようとする強い意思がカメに見られたため、獣医たちは痛み止めと、火傷の手当てを開始、治療の甲斐あり徐々に回復していきました。火傷の状態がホラー映画『エルム街の悪夢』の殺人鬼を連想させたことから、当時「フレディ」というニックネームが付きました。
さて、火傷は治りましたが、カメが生きて行くためには太陽の熱や外敵から身を守る甲羅が必要です。そこで、3Dプリンターで人工甲羅を作るプロジェクトチームが組まれました。獣医、動物専門の歯科医、人の歯科医、グラフィックデザイナー、みんなボランティアで参加しました。携帯電話のカメラで60枚の写真を撮り、それを元に無料ソフトで甲羅の3Dデータを作成しました。甲羅の材料は、自然に分解されやすいポリ乳酸を採用しました。ブラジル国内の安価な技術を使ったため、制作費はわずかR$160(約3200円)だったそうです。3Dプリンターでできた真っ白な甲羅にアーティストが色付けをしました。まるで本物の甲羅のようですね。人工甲羅を取り付ける手術は無事成功し、フレディは6年経った今も動物保護施設で元気に過ごしています。
この人工甲羅は「世界で初めて3Dプリンターで作られた動物用の人工義肢」として2022年版ギネスブックに掲載が決まりました。
リクガメのフレディは、のちに実は女の子であることが分かりました。また、殺人鬼とは対照的にとっても穏やかで人なつこい性格だそうです。当初むき出しだった皮膚は指で押すだけで破れてしまうほど脆いものでしたが、人工甲羅に守られたその下には自然の甲羅のように堅く強い皮膚が形成されてきているそうです。動物の生命力は実に神秘的です。
今年6月、アマゾンの森林火災の発生件数は1ヶ月で2,308件、過去14年間で最悪でした。野生動物たちの被害がどれほどなのか・・・心が痛んでしまいます。
#ブラジル #野生動物 #人工義肢 #リクガメ #カメ #森林火災
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