04 Mar 多くの人たちの人生を変えたパン屋さん
南米でよく交差点の信号待ちをしている時、物をうる人たちの映像を見かけた事はありますか。今日は、そんな人達のお話です。
場所は植民地時代そのままに残されたコロニアルな雰囲気の町並みが美しいアルゼンチン第二の都市コルドバです。
数年前よりコルドバのゲメス地区にある財団ラ・クアドラはホームレスを援助してきました。サンバチームを作り、貧しい地区をまわりながら無料で子どもたちに音楽を教えることが当初の目的でした。しかし通っている子どもたちが、お腹をすかせていることに気づきました。サンバをやめ、食事にフォーカスするようになりました。そして4年前、土地を借りてホームレスの人たちと共同野菜畑とリサイクルセンターを作りました。
新型コロナウイルスが流行し、リサイクルは中止となり、続けるか閉鎖するか迷ったそうです。そこで諦めず寄付を集め、施設の一部をパン屋にしオーブンとパンこね機を買いました。リサイクルチームのメンバーの一部はパンやビスケット作りに関わり、あとは販売を担当しました。
設立者のロドリゴ・ロハスさんは「売り子には服、パン、カゴを支給します。売上のうち50%以上は本人の収入となり、残りはパン屋に再投資します。働きたい人全員にチャンスを与えています。ビスケットとカゴを持ったまま戻らない人もいますが、それは仕方がない」といいます。彼らを救いたい気持ちでいっぱいのロドリゴさん、損得は考えないようにしています。
パン屋さんの入り口では「Wi-Fi、暖かい食事、暖かいコーヒーがあります。どうぞ!」と通りかかる人に呼びかけています。中に入ると、地域住民による様々なサポートを受けられます。例えば、美容師やビジネスウェアの貸し出し、履歴書を書く人などがいます。この施設を拠点とし、住民が力を合わせて仕事探しを手伝っています。
ロベルトさん(51)は家族とのトラブルで家を出て、2年間ホームレスの生活を送っていました。道端で寝ていたとき、少ない持ち物を盗まれたことがありました。食べ物のために施設を訪ねたところ、以前の職業を聞かれました。ロベルトさんは配管工だったので、施設のメンテナンスをするようになりました。ロベルトさんと同い年のダニエルさんは以前バイクでできる仕事をしていましたが、事故でバイクを失い、家賃すら払えなくなりました。この施設でパン売りをしてみないかと声をかけてもらい、今では1日20個売るようになり、寝泊まりする場所を払えるようになりました。ダニエルさん(72)は、幼い頃に母親を亡くし、コルドバの道端で育ちました。この施設と出会ってからパン屋のキオスクを提供してもらい、収入を得られるようになったので簡易宿泊所に滞在できるようになりました。
ホームレスの人たちは交差点で施設で作った“Sueños de la calle”(街角の夢)という名のビスケットを売っています。
そのビスケットには “Ser escuchados (耳を傾けてほしい)” “no passar frio (寒さを感じたくない)”“tener um futuro(未来を持ちたい)” “que no falte comida(食べ物が不足しないように)” “tener uma família(家族を持ちたい)” “tener casa própria y trabajo(マイホームと仕事を持ちたい)” といったフレーズが刻まれています。
この施設はホームレスたちが何を必要としているかを聞き、その夢を叶えてあげる場所。
ビスケットにはその夢が刻まれています。彼らが直面している状況を知ってもらう手段にもなっています。これからも多くの人たちの街角の夢、叶うといいですね。
#アルゼンチン #コルドバ #コロナ #援助 #ホームレス #リサイクル
ブラジルの新型コロナウイルス感染状況(3月3日現在)
感染者:28,906,214人
死亡者:650,646人
ブラジルのワクチン接種状況(3月2日現在)
1回接種:172,805,354人
2回接種:155,318,292人
参考リンク
https://www.facebook.com/laquadraespacio/photos/?ref=page_internal
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